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移動平均線の見方:SMAとEMAの違いとゴールデンクロスの実際の成績

移動平均は過去の価格の平均なので、常に遅れます。SMAとEMAの違いと、ゴールデンクロス後の実測結果を見ます。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 10/33· ⏱ 読了目安 3分 ·情報更新 2026-09-23

📋 基本情報

要点
移動平均は直近N本の終値の平均なので、常に価格より遅れる
EMA
新しい終値に α = 2/(N+1) の重みを与え、最初の値はSMAから始める
実測
10銘柄の日足で、ゴールデンクロス後20本の上昇割合48.3%、基準50.4%
注意
クロスはすでに起きた値動きの結果であって、原因ではない

単純移動平均(SMA):直近N本の終値の平均

移動平均は、直近の一定本数のローソク足の価格を平均した値を、足ごとに計算し直してつないだ線です。最も基本的な単純移動平均(SMA)は、直近N本の終値をすべて足してNで割ります。SMA20なら、いまの足を含む直近20本の終値の平均で、新しい足が1本できると最も古い終値が1本抜けます。そのためSMAは、新しい終値が横ばいでも、古い大きな値が抜けるだけで動くことがあります。平均に入れる値はふつう終値で、この講座の図とこのサイトのツールも終値で計算しています。

指数移動平均(EMA):直近の値により大きな重み

指数移動平均(EMA)は、新しい終値と直前のEMAを混ぜて計算します。EMA = α × 今回の終値 + (1 − α) × 前回のEMA で、α = 2/(N+1) です。EMA20ならαは約0.095なので、今回の終値が9.5%、前回のEMAが90.5%を占めます。古い終値の重みは足ごとに小さくなっていくだけで、0にはなりません。TradingViewは最初のN本の終値のSMAを最初のEMAの値として使うため、どこから計算を始めたかによって、ツールごとに値が少しずつ違うことがあります。このサイトの複数のツールがローソク足を多めに取得して計算するのもこのためです。

どれくらい遅れるか:SMAとEMAの遅れ

平均は過去の値から作るので、常に価格より遅れます。一定の速さで上がる区間では、SMAはおよそ (N−1)/2 本前の価格の高さにあります。SMA20なら9.5本前、SMA200なら99.5本前です。よくEMAのほうが遅れが少ないと言われますが、同じNなら、安定したトレンドで後れを取る距離はEMAも同じです(計算上どちらも (N−1)/2 本)。違いが表れるのは向きが変わるときです。EMAは最新の足にSMAの約2倍の重み(20なら9.5%対5%)を与えるので先に折れ曲がり、同じ理由で1本の急騰・急落にもより大きく揺れます。

SMA20EMA20
例: 架空の価格にSMA20とEMA20を計算して描きました。上がっている間は2本の線がほぼ重なり、価格が折れた後はEMA20が3本早く天井をつけて下がります(点はそれぞれの線の天井)。

よく使われる期間と、暗号資産で変わる点

海外では20・50・200、韓国の株式市場では5・20・60・120が慣例のように使われます。韓国の慣例は株式の取引日から来た数字で、5日は1週間、20日は約1か月、60日は約3か月、120日は約半年にあたります。暗号資産は週末もなく毎日取引されるので、日足20本は1か月ではなく20日です。また期間は日数ではなくローソク足の本数なので、1時間足のSMA20は20時間を見ています(タイムフレームの記事)。このサイトのPro トレーディングチャートはSMA 5・20・60を、マルチタイムフレーム・トレンド表はEMA20・EMA50を使います。どの期間が正解だという根拠はなく、多くの人が同じ数字を見ていることが、それらの数字が使われ続ける理由に近いと言えます。

ゴールデンクロス・デッドクロスと線の並び順

短い期間の線が長い期間の線を下から上へ抜けることをゴールデンクロス、上から下へ抜けることをデッドクロスと呼びます。伝統的には50日線と200日線のクロスを指し、韓国では20日線と60日線のクロスもよく注目されます。クロスが起きるには、直近の価格の平均がより長い期間の平均を上回る必要があるため、ゴールデンクロスはたいてい価格が安値からかなり上がった後になってから出ます。下の図でも、クロスした足の終値はすでに安値より約20%高くなっています。

安値ゴールデンクロスSMA20SMA50
例: 架空の価格にSMA20・SMA50を計算して描きました。クロス前はSMA50が上(下降の並び)、クロス後はSMA20が上(上昇の並び)で、クロスした足の終値は安値より約20%高くなっています。
  • ゴールデンクロス:短い線が長い線を下から上へ
  • デッドクロス:短い線が長い線を上から下へ
  • 上昇の並び(上昇パーフェクトオーダー):5・20・60・120日線のように、短い線から順に上から並ぶ
  • 下降の並び(下降パーフェクトオーダー):長い線が上、短い線が下

実測:ゴールデンクロスの後、実際はどうだったか

この講座では、バイナンスの10銘柄(BTC・ETH・BNB・XRP・ADA・DOGE・LTC・LINK・TRX・SOL)の日足29,946本(各銘柄のバイナンス上場日から2026年9月まで)から、SMA50がSMA200を上抜けた足と下抜けた足をすべて探し、その後の価格を、すべての足で測った基準と比べました。20本後の終値のほうが高かった割合は、ゴールデンクロス後が48.3%で基準よりやや低く、デッドクロス後は56.8%でむしろ高くなりました。BTCの4時間足では、30本(5日)後で見ると逆にゴールデンクロス後が基準より高く、デッドクロス後が低かったものの、6本(1日)後で見ると日足と同じ向きでした。クロスは10銘柄を合わせても90回前後で、銘柄どうしが一緒に動くため、互いに独立した事例でもありません。対象と期間によって向きが変わったので、「ゴールデンクロスの後は上がる」はこのデータでは確認されませんでした。

  • 基準(すべての足、20本後):上昇50.4%、中央値+0.15%
  • ゴールデンクロス87回:上昇48.3%、中央値−0.55%
  • デッドクロス88回:上昇56.8%、中央値+3.13%
  • BTC 4時間足のゴールデンクロス59回:6本後47.5%(基準52.0%)、30本後59.3%(基準52.8%)

移動平均が支持・抵抗のように見える理由

上昇トレンドで価格が移動平均まで下がってから再び上がる場面は、よく目につきます。平均線は直近の価格のほぼ真ん中に位置するので、押し目がその近くまで来るのは計算上自然なことで、200日線のように多くの人が見る線の近くには注文が集まることもあります。ただし5・20・60・120・200日線をすべて表示しておくと、価格の近くにはほぼいつも線が1本くらいあります。線で反発した場面は記憶に残り、そのまま突き抜けた場面は忘れられやすいため、実際以上によく当たるように感じられます(チャート分析の限界の記事)。線1本よりも、幅のあるゾーンとして見るほうが外れにくくなります(支持線・抵抗線の記事)。

よくある誤解:クロスが価格を動かす

ゴールデンクロスが出たから上がる、という言い方は順序が逆です。移動平均は価格から計算した値なので、クロスはすでに起きた値動きを遅れて確かめた結果であり、クロスそのものには価格になかった新しい情報はありません。価格が一定の範囲を行き来するレンジ相場では、2本の線が絡み合ってクロスが短い間隔で繰り返され、クロスを追うと遅れて入っては戻される、ということが重なります(レンジ相場の記事)。クロスのルールが過去にどうだったかは、ゴールデンクロス・スキャナーの過去の成績や暗号資産バックテスターで手数料を含めて確かめられますが、その結果も今後を保証するものではありません。

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